東日本大震災を経験して、皆様にお伝えしたいこと

 私は東日本大震災の被災者です。あの日を境に、人生が一変しました。一年一年時間をかけながら、少しずつ癒されている実感はありますが、元通りになることはありません。こちらのサイトでは、当時私が思っていた事、そして、実際に震災を体験して思った事をお伝えするとともに、この先いつでもあなたに起こる可能性がある「災害」に対する適切な考え方、実際の備えをお伝えします。

自分で判断しない

 私たちは、昭和53年に宮城県沖地震を経験しています。その際は、津波こそなかったものの、ブロック塀の下敷きになる方が多く、死者28名、負傷者1325人の被害がありました。歴史を紐解くと、宮城県沖を震源とする大きな地震は、定期的に観測されています。このことから、2011年1月11日に、大地震が起こる確率が発表されていました。その内容とは、2011年1月1日を基準として、10年以内に大地震が発生する確率は70%程度、20年以内には90%程度、30年以内には99%というものでした。 (出典:宮城県沖地震の発生確率 仙台市)

 

 このような、今から思えばとても有益な情報があったのにも関わらず、私たちの中には、今すぐには起こらないだろう、とか、起こるのは次の世代だろう、とかの思い込みがあったのです。起こってしまった今、改めて数字を見るなら、当時すぐに準備する必要がある事象であったことは一目瞭然です。このように、現在啓蒙活動がされている南海トラフ地震のように、国や各自治体から情報が出されている場合は、今すぐには起こらないだろう、というような解釈をするのではなく、今すぐにできることを始めなければなりません。これは、災害大国日本に住む、私たちの義務です。

イメージして欲しいこと

 大きな地震がどれだけ破壊力を持つのかは、実際に体験してみなければわかりません。私が体験した中での、一番わかりやすい例でご説明します。それは、「大地震が発生すると、家の中を靴で歩かなければならなくなる」 というものです。今、あなたは足元を見ることができるでしょう。床や畳やじゅうたんの表面が見えると思います。でも、ひとたび大地震が発生してしまうと、上から横から下から、ありとあらゆるものが飛んできて、一瞬にして部屋の中ががれきでいっぱいになります。台所は、食器棚から飛び出して、割れ、飛び散らかった陶器類が散乱し、履物を履いていなければ危険な状態となります。家具は全て倒れます。転倒防止の棒が設置してあっても、上の天井の強度によっては、家具は倒れてきます。

いつもの動きができない

 この、割れて飛び散った陶器類を片付けようと、掃除機を取りに行っても無駄です。電気は止まっています。災害発生が夜中であれば、真っ暗です。情報を得ようとテレビのリモコンを手にしたところで、これまた無駄です。テレビは点きません。得意のスマホは、今の充電が終われば、もう役に立ちません。電話も使うことができません。誰とも連絡を取ることができない状態になります。水道の蛇口をひねったところで、水は出ません。都市ガスも機能が停止しています。コンビニに買い物に行こうにも、電気に全てを頼っているコンビニは営業することができません。いつもの停電なら数分で復旧するでしょうが、東日本大震災時には、発生から10日以上、電気が来ませんでした。電気のない生活を実際に想像してみて下さい。

具体的な対策を今すぐして下さい。

 電気のない生活を想像するのは難しいでしょうか。まだあります。エレベーターは動きませんし、立体駐車場から車を出すことができません。インターホンも機能を停止します。例を挙げればきりがありません。でも、実際に災害時にはこうなってしまうことを覚えておいて下さい。
 とにかく大切なのは、命を繋ぐことです。具体的には三つの物を、今すぐ揃えて下さい。
1) 最低3日は生き延びるための水と食料
2) 情報収集のための携帯ラジオ (スマホ不可) と電池
3) 懐中電灯

解説

 災害発生当初は混乱しています。しかし、国や地方自治体は、着実に復旧に向けて動き出してくれます。具体的には、人口密度にもよりますが、避難所が設置され、食糧の配給や炊き出しが始まります。ここまでの間、およそ3日間を、何とか生き抜いて下さい。水や乾パンなどの非常用食料を常備し、いつでも取り出すことができる所に置いておいて下さい。
 状況は刻々と変化して行きます。テレビやラジオでは報道されていますが、それを見る事、聞く事が出来ません。災害時、情報収集の手段として一番役に立つのは、携帯ラジオです。各地域の放送局にダイヤルを合わせ、すぐに聴くことができるように、準備しておいて下さい。
 夜は誰もが経験したことのない、真っ暗な世界です。懐中電灯があると、とても安心することができます。こちらも備えておきましょう。

イメージトレーニングを

 夏なら、エアコンのない生活、冬ならファンヒーターのない生活、水の出ない生活、風呂に入れない生活、洗濯などできない生活、がしばらく続きます。特に都会においては、猛暑の中、エアコンが使えないということは大変だと思います。自家用車に頼ろうとも、燃料の供給の目途はしばらく立ちません。このような状況になることを、素直に受け入れることができるでしょうか。普段から災害に対する深い意識を持ち、災害発生時には、電気のない、水の出ない、ライフラインが全てない、コンビニも、エレベーターも、電車も、車も使えない生活となることを、イメージしてみて下さい。これが、現代社会に生きる私たちにとって、どれほどのストレスとなるか、それを感じるだけでも勉強となります。